サツゲキで「キネマの玉手箱」

  • 2020.08.11 Tuesday
  • 06:16

 遅まきながら、狸小路5丁目の「サツゲキ」(ディノスシネマ札幌劇場改め)で、大林宜彦監督の遺作「海辺の映画館〜キネマの玉手箱」を観た。新しくなったサツゲキは、かつて東宝プラザの名前で愛された2階の映画館が、200席のスクリーン1,28席のスクリーン2、48席のスクリーン3という3つの映画館に分かれた(地下劇場の元プラザ2は170席のスクリーン4となる)。

 久しぶりに対面したスクリーン1こと元東宝プラザは、大スクリーンをそのままに、座席だけが半分以下になったため、少しバランスが悪い。しかし、スロープや座りやすい椅子は昔のままなので、映画を観ているうちに気にならなくなった。

 もっともそれは、大林宜彦監督の遺作「海辺の映画館」が類稀なる傑作だったせいかもしれない。冒頭から乱舞する豊饒なイメージ映像に翻弄されつつ、インターミッション後は大林監督の遺言ともいうべき切なる反戦メッセージと人間愛に心を揺さぶられた。まるで無声映画のセリフのように、合間に挿入される中原中也の詩の素晴らしいこと。ミュージカル、時代劇、戦争アクション、ファンタジー、ラブ&ロマンスが入り乱れるキネマの玉手箱だが、やがて知らされる戦争の悲惨さに恐れ戦かされる。小津安二郎監督の隠れた反戦映画「麦秋」を思わせるシーン、「人間の條件」の仲代達也を思い出せるシーン、広島の原爆を描いた黒木和雄監督の名作『TOMORROW 明日」を彷彿とさせるシーンなどもあり、戦争を知らない世代に対する大林監督からのメッセージは痛いほどよくわかる。晩年は、反戦をテーマに映画を撮り続けた大林監督の集大成ともいうべき作品である。決して大上段から構えて戦争と平和を語る作品では無いので、尚更その温かい思いが心に染み入る。

元気が出る本

  • 2020.08.07 Friday
  • 16:06

 イギリス在住であるブレイディみかこさんの新刊『ワイルドサイドをほっつき歩け』を、読み終わった。この人の本は、なぜか読むと元気が出てくる。最初に読んだ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』というタイトルを初めて見た時、なんて本なんだろうと引いてしまい、しばらく放っておいた。ところがいざ読んでみると、大人の凝り固まった常識を軽々と飛び越える、英国のブライトンで中学校生活を送るで息子の話。グローバルな世の中を生き抜くには欠かせない問題提起がなされていて、なぜか元気が出てくるノンフィクションだった。父親がアイルランド人で、母親が日本人、つまりブレイディみかこさん。その彼女の社会問題に鋭く迫る批評眼が、なかなか良かったのだ。

 今回の本は、子どもたちの教育問題よりも、労働者階級のおっさんの生き方をはじめ、住宅、医療、緊縮財政、EU離脱など、広範囲な社会問題に焦点を当てている。それぞれの問題点について、ブレディみかこさんは舌鋒鋭く語り、グローバルな問題が多いだけに、私たち日本人の留飲まで下げさせてくれる。時々、登場するフォーククルセダーズの歌詞が行間に良く嵌り、世界はひとつだなあと、しみじみ思わされた。オモシロイね。

日本のドラマも!

  • 2020.08.05 Wednesday
  • 17:19

 友人が貸してくれたDVDの中に、日本のドラマ「ハケンの品格」というのがあった。第1話から3話まで観たのだけれど、無茶苦茶オモシロイ。幾つもの特殊技能を持つ大前春子(篠原涼子)という人が、派遣社員として3カ月だけ働くというのだけれど、女性版ス−パーマンとでも言おうか。仕事ができるなんてもんじゃない。いざとなったらクルーザーは運転するわ、バイクは運転するわ、八面六臂の活躍ぶり。事務室の閉じ込められた女性の派遣社員を救うために、映画「13日の金曜日」ではあるまいに、ノコギリまで持ち出すんだから凄い。脚本家の中園ミホさんは、相当なスプラッタムービーファンなのだろうか。ともあれ、観終わった後、意外と気持ちがすっきりすることに気が付いた。もしかして、巣籠りの間にすっかりマジメ人間になっていたのじゃないかと、反省しきり。コロナ禍を乗り越えて出版社を守るためには、良いヤツになっている場合ではない。マントでもなんでも身にまとって、ノコギリのように尖って、組を守らにゃあ。なんて思ったほど、日本のドラマも面白いんだなあ。

 

スイカ丸ごと冷やす

  • 2020.08.02 Sunday
  • 20:28

  今年も雷電スイカを丸ごと1個買って、冷蔵庫で冷やした。今の時代は4分の一とか8分の一サイズでで売っているので、いつでも気軽に買える。というより、買いやすい。が、休日にガラガラを引っ張っていき、わざわざ丸ごと買って帰った。自称スイカ評論家の兄によると、スイカは丸みを帯びて縞模様がくっきりはっきり、叩くとポンポンと良い音がするモノが美味しいという。買い物時に兄が時間をかけてじっくり選ぶのを見たとき、エンゲル係数が昔から多い食いしんぼ家族のルーツが、そこに見えたような気がしたものだ。それに倣って、私も慎重に選ぶせいか、ほぼ失敗はない。もっとも最初から雷電スイカしか買わないので、真偽のほどは定かでないけれど……。

 幼い頃、未だ冷蔵庫が無い時代には、盥に水を張って冷やした。それを母が切ってくれるのだが、4人兄妹(兄が3人)でじゃんけんをして、一番の人が好きなところを選べる。昔は丸ごとスイカを4分の一に切り、さらにそれを小さく切った。すると真ん中に近い方が甘くて美味しい。だからじゃんけんで競うのだけれど、なんだかんだ言いながら大勢で食べるから美味しかったのだと思う。

 ともあれ、半分に割ってギンギンに冷やし、毎日少しずつ食べている。昨日の土曜日はソーメンランチを女3人で実行。ゆでたてのソーメンにスイカを散らして出してみると、凄く喜ばれた。やっぱり一人で食べるより、人数が多いと美味しい。デザートにも、昔風に切って出すと、良く冷えていたこともあって好評だった。なんだか「遠くなりにけり」の昭和が思い出され、懐かしい気持ちになってしまった。コロナなんかに負けないぞ!

 

喫茶店グラフイティー余話

  • 2020.07.28 Tuesday
  • 14:18

 札幌パルコの裏通りにあった名店「ホールステアーズカフェパレード店」が、今年の1月10日に閉店した。1987年オープンというから33年もの長きに渡って、都市のオアシスであり続けた訳だ。店舗デザイナーの今映人さんによる細長い店内は、深い緑色の石を使った壁で仕切られ、一人でコーヒーが楽しめるカウンター席と仲間とお喋りが出来るボックス席に分かれていた。未だヘビースモーカーだった頃、紫煙をくゆらせながらこの店で、一杯の美味しいコーヒーを心ゆくまで楽しんだもの。

 ちなみに、ここで修業した経験を持つのが、「ミンガスコーヒー」の川手元弘さん(48・推定)、「CAFE  early]の小林久さん(48・推定)、「板東珈琲」の板東修市さん(52・推定)という3人。この3軒ともに、ネルドリップで丁寧に極ウマのコーヒーを淹れて

くれる。店づくりもそれぞれ個性が溢れていて、私は秘かに「地獄の同級生三羽ガラス」と呼んでいるほどだ。

 というのも、人気店だったホールステアーズカフェは、目も回るような忙しさ。余りの過酷さに、「この店で1年以上働くことが出来れば、どこでも通用する」と言われたそうだ。それほどの激務に耐え、コーヒー道を突き進んだ3人は、ほぼ同じ世代。しかも、どの店も甲乙つけがたいほど旨いコーヒーを出してくれる。これほど優れたカフェが、この街に存在することが、私には誇らしい。喫茶店は、都市の顔でもあるからだ。

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