懐かしき「ゆりや食堂」

  • 2020.01.07 Tuesday
  • 17:53

 裏参道の近くに立ち寄ったので、移転してしまった「ゆりや食堂」の跡がどうなっているのか確かめに行ってみた。するとその場所は更地になっていて、建物の跡形もない。なんだか懐かしくなって、ランチを軽く食べた後にも拘わらず、移転先の「ゆりや食堂」を訪れてみた。住所は前と同じ南1西19で、「青山とうふ店」の真向かいにあり、ビルの1階にあるにも拘わらず、建物の外観は前とそっくり。大衆食堂の鏡みたいな風情なのだ。暖簾を潜り抜けて中に入り、ラーメン500円を頼む。連れ合いの女友達は目ざとく小ラーメン400円を見つけ、やっぱり頼む。さっぱりした出汁のしょうゆ味は変わらず、少し縮れた堅めの麺を味わいながら完食した。

 帰り際、店主に挨拶するためにレンジへ向かうと、すぐそばの壁にこの絵(コンビを組む松本浦さんが書いた)が飾られていた。店主は、あの時は「立ち退きで移転することになるとは考えてみませんでした」と話す。確かに私も記録に残しておきたいと、取材拒否だった彼を説得して、やっと取材許可が出たことが思い出された。あれは3年前の話だっただろうか。その後、この店はテレビでも紹介されていたので、取材が難しかったことは余り知られていないが、私としては数年かかって口説いたことを忘れられない。ともあれ、前の店舗の画が残っていることは希少だ。大正期の木造2建てで、元は銭湯だったそう。今も猛スピードで古い建物が街中から消えているけれど、文と画で残しておいて良かった。また、この新「ゆりや食堂「」が、いかに以前のイメージを壊さないように努力しているかがわかるはず。見比べて貰いたいものだ。

 

ロングセラーの底力

  • 2019.12.11 Wednesday
  • 17:57

 長く売れ続けている製品の中には、やっぱり良い品があるっもだとつくづく知らされる今日この頃だ。不精の私にとって、洗顔は1日の中で、一番面倒くさい作業である。若い頃は、酔っぱらってそのまま寝てしまうこともしばしばだだったが、今はそういう訳にはいかない。厚化粧ではないけれど、少し塗りたくった部分を取り除き、さらに市販の洗顔料で洗うのだが、後がすっきりしないので、ある時からさらに石鹸で洗っていた。ところが、雑誌クロワッサンで発見した「ロゼット洗顔パスタ」がとても良いのだ。

 値段が安いこともあって(小さいサイズで375円だったかな)、近くのスーパーマーケットで買って試してみると、これが素晴らしい。洗顔後、肌がさっぱりするのだ。石鹸を使った後と同じぐらい気持ちが良く、すっかりファンになってしまった。こうして庶民は、生活防衛するのだ。税金を湯水のように私的に使う人には、この喜びがわからないだろうなあ。

年の瀬は少しブルー

  • 2019.12.03 Tuesday
  • 18:37

 12月に突入した途端、焦りが浮上し、あくせくと動き回っている。と言いながら、腰痛で土・日の2日間、予定をキャンセルして寝込んでいた。こういう時間が意外に貴重で、読書が進んだり、ボーっとしつつもカーテンを洗濯したりと、雑事もこなせたりして。かなり怠惰な時間を過ごしたせいで、大分前に読み終わっていた河秋子さんの新作『土に贖う』(集英社)の感想をようやく書けるかな。この小説集は、養蚕、ミンク、薄荷、アホウドリ、蹄鉄、レンガ造り、陶芸という土にかかわる仕事を主とした7編の短編からなる。『颶風の王』の時もそうだったけれど、馬の描写が抜群に巧い。7編の中でもも「うまねむる」は、装蹄を職業とする親子2代の物語だが、登場する馬の鼻息や黒く潤む目や臭気が伝わって来るほどリアル。田舎町に住んでいた頃の馬具屋さんが思い出され、感心させられた。良く出来たストーリーで、背筋が寒くなったのは、ミンクの養殖を描いた「頸、冷える」。主人公が陶芸家として土と向き合う「温む骨」の描写力も素晴らしく、ひとつひとつ慈しむように読ませてもらった。

 ノンフィクション「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮社)は、「波」に連載されているものをまとめたものだというが、著者であるブレディみかこさんの視野の広さに感服させられた。大人の凝り固まった常識を打ち崩す子供たちを受け止める包容力と観察眼の鋭さにも脱帽だ。

 ところで、わが亜璃西社が8月に刊行した河井大輔著『さっぽろ野鳥観察手帖』の評判がすこぶる良い。日本野鳥学会の会報誌「野鳥」(11月号)の書評で、松田道生さんが、「『ある一都市専用の図鑑が出版される時代になった』と思うと、感慨深いものがあります」、さらに「本書のような図鑑が各地で出版されるようになれば、初心者がよりバードウォッチングを楽しむことができると思います」と絶賛してくれた。うれしいことこの上ない。寒くなると気分が少しブルーになるものだけれど、少しイェローになったかな。

 

 

 

サディズムを感じる時

  • 2019.10.28 Monday
  • 17:57

 

 どうでも良いことだけれど、東京土産に頂いた「ひよっこ」を頭からかぶりつく時、いつも私は自分がサディストなんだなあと思う。下の方から少しずつかじって,最後に頭に到達するという優しい食べ方が出来ないからだ。嗚呼!

 久しぶりに、札幌芸術の森美術館まで出かけてきた。赤や黄色で染まった庭の紅葉が余りに素晴らしく、しばらく見惚れてしまった。いつもはオフィスと自宅、酒場、映画館を回遊している私にとって、自然に接することはひとときの安らぎ。が、目的は「奇蹟の芸術都市 バルセロナ展」と銘打つ展覧会で、それほど期待していたわけではなく、閉館前の駆け込みだった。

 しかし、こちらも素晴らしかった。ガウディとミロとダリとピカソの作品を同時に観られるなんて、凄い話。そのキーワードが、「カタルーニャの前衛運動」というのも面白い。ダリやガスクなどが1928年にバルセロナで発行した、<黄色宣言(カタルーニャ反芸術宣言>のパンフレットが、会場のショーケースの中に展示されていて、実に興味深かった。当時のカタル−ニャの文化状況に対する反逆の精神に満ち溢れたもので、彼らはそれを「危険なもの」「偽のもの」と呼んで糾弾。当時の知識人たちを挑発する一方で、ボクシングやテニス、ジャズや現代音楽など新たな大衆文化を賞揚し援護したという。停滞した文化状況の攪乱が目的で、彼らが目を向けたのは芸術の先端都市だったパリであるとか。歴史は繰り返されるというけれど、いかに前衛的なアーティストが、その時代のそこに存在したかわかるというものだ。

 その翌日、歴史的建造物の豊平館で2019年度・第8回「北の聲アート賞」の贈呈式が行われ、初めて参加させてもらった。柴橋伴夫さんが代表の「サッポロ・アートラボ」が、主管という形で行われ、大賞に準じるきのとや賞、奨励賞のビルタップ賞などがあり、中でも瞠目させられたのは、特別賞(ハルニレ賞)に、2010年スタートの「草森紳一蔵書プロジェクト」が選ばれていたこと。これは、迷著『本が崩れる』でも知られる、亡くなった草森紳一さん(音更町出身)が残した32,000冊もの蔵書を保存して後世に活用しようという稀有な試み。帯広大谷短期大学が中心となり、ボランティアスタッフで運営しているという。その活動などを報告する通信も発行していて、感心させられた。

 最近,遅ればせながら観た映画は「ジョーカー」。主役のアーサーを演じた俳優ホアキン・フェニックスが、若くして急逝したリバー・フェニックスの弟であると初めて知った。狂気をこれだけ演じきれるとは、凄い俳優だ。せっかく構築したストーリーが後半には崩れてゆくが、この人の演技だけは屹立していた。なぜか、シャイニングのジャック・ニコルソンを思い出してしまった。

 

 

 

巷のシゴダス

  • 2019.09.02 Monday
  • 17:10

 先日、映画仲間のとある女性がオープンしたスナックで、彼女が「おツユに入っていた貝の殻を使ってオブジェを作った」という発言を聞いて、「嗚呼、おツユってもう死語だなあ」ととつくづく思った。私の幼い頃、家では味噌汁ではなく「おツユ」と言っていたからだ。そういえば、「ちょうめん」「ちゃちり」「はなかみ」「ごふじょう」も今は死語だ。若い人の前で「アベック」と言ってもわかってもらえず、カップルのことと言うとやっと理解してもらえるほど。考えてみると、昭和、平成、令和と3つの時代を生き抜いているのだからさもありなん。昔でいえば、明治、大正、昭和を生き抜いた人に似ている。それなら、いっそ「巷のシゴダス」という本を作りたいと願望を述べると、その場に居合わせた人はもろ手を挙げて賛成してくれた。良ーし、この連載を書いているときには必ず、ワン項目作ろうか。

【港のシゴダス】アベック=異性との同伴。特に若い男女の二人連れ。

 

 

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