涙ぽろり

  • 2018.01.22 Monday
  • 17:07

 どうして売れているのか知りたくて、漫画本『君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)を買って読んでみた。吉野源三郎の著作は、1937年に新潮社から発行されている。ほぼ80年前に出版されたこの本が、何故、また注目を集めるほどベストセラーになったのだろうか。

 原著は、知的好奇心の旺盛な少年コペル君とその父親代わりに見守る編集者だったおじさんの心温まるやり取りを通じて、生きる意味がわかりやすく説かれた児童向けの教養小説である。この漫画本でも、主人公のコペル君が、いじめ、貧困、格差など、今も変わらない人生のテーマと無垢に向き合う姿が、絵と文で痛々しいほど純粋に描かれる。それに応えるおじさんの柔らかな脳に裏打ちされたインテリジェンスが秀逸であり、羽賀翔一さんの画の素晴らしさもあって、それぞれ登場人物の表情がまるで生きている人物さながら。合間に入るおじさんの手紙はきっちり活字だけだが、これまた深遠なテーマに対する答えがわかりやすく語られ、絵と文が一体となって、原著の世界を魅力的に映し出す。いつの時代も、人の営みの中にある人生のテーマは似ていることを教わり、今読んでも色褪せていない。なぜか、自然に涙がぽろり。

 時代を超えて読み継がれる本とは、こういうのを指すのだろう。私もこういう本を出版できたら、本望かな。

 

 

 

コメント
その本は、いつも図書館の児童書コーナーにありました。
でも、さほど貸出はされませんでした。
ところが、今は、「かつて子供だった大人」から、
愛されているそうで・・・。
その影響もあって、子供たちも手に取っています。

本というのは、本当に不思議ですね。
でも、どんなに時代が変わっても、
心に響く「テーマ」は実に単純なのかもしれません。

  • ファン癸
  • 2018/01/24 7:51 PM
、心に響くテーマは、不滅なのでしょうね。が、現代に伝わりやすく漫画化した、編集者の力量にも敬服させられました。
  • wada yumi
  • 2018/01/25 10:07 AM
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