時代の先読み

  • 2018.01.29 Monday
  • 10:57

 佐々木譲さんの新作「英龍伝」(毎日新聞出版)を、あっという間に読み終えた。帯には「くろふね」「武揚伝」に連なる完結編とあるが、主人公の江川太郎左衛門英龍は、時代的にいうと武揚や中島三郎助より前の人だったのだ。「黒船来航」を予言したのはもとより、自ら蘭学、西洋砲術を学び、反射炉建築、江戸湾の台場築嬢を指揮したという。江戸幕府の代官で、これほど時代を先読みできた人がいたとは恐れ入谷の鬼子母神。譲さんの軽やかな筆致とストリーテラーならではの筋立ての旨さで、一気に読まさってしまった。もし、これから入った人は『くろふね』や『武揚伝』、往年の隠れた名作『五稜郭残党伝』もあるので、楽しみが残されているはず。

 それにしても、今の時代だって先読みは難しい。東京人の間では、「出版の輝いた時代は終わった」といわれているそうだけれど、命名されてまだ150年の北海道には、作るべき本、残すべき本がたくさんあると思い込んでいる私は、果たして時代遅れなのか、先読みなのか、自分でもわからない。ただ言えることは、余り頭の良い人は、やらない仕事だろうなあ。

コメント
経営者であり執筆者でもある和田様には、
私などには分からない「モヤモヤ」があるのだと…。
でも、どんなに時代が変わっても
「本」にはパワーがあると私は信じています。
そのパワーを生んで支えるのは、
長く愛され、保存される「資料」を作りたいという、
志を持つ出版人だと思います。
  • ファン癸
  • 2018/01/30 9:01 PM
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