やっぱり知の巨人

  • 2019.05.27 Monday
  • 12:55

 佐伯泰英の原作は読んだことが無いけれど、映画「居眠り磐音」は上出来の時代劇だった。主演の松坂桃李も良かったけれど、最後まで清冽さを失わない芳根京子が素晴らしい。キレの良い演出と松竹ならではの繊細なセット、頑張った殺陣のシーンなど、誉めたい場面は多いけれど、やっぱり沈黙のラストシーンが秀逸。凄いなあと思っていたら、この元木克英監督は木下恵介監督の弟子だった。有名な「陸軍」のラストシーンからヒントを貰ったとインタビューで語っていて、さもありなんと納得させられた。映像とは何かを熟知している監督の映画は、観終わった後、言い知れぬ余韻に浸れるから幸せだ。

 遅ればせながら観た「ROMAローマ」も、そんな一本。主人公が床を掃除するファーストシーンがまるで絵画のように美しく(水滴までも)、それだけで参ってしまう。なぜか、ティオアンゲロプロス監督の「霧の中の風景」の出だしを思い出してしまったほど。ドキュメンタリータッチで描かれるモノクロ映画なのだけれど、モノ言わぬ映像からたくさんのメッセージが伝わってきて、映画ファンである歓びを謳歌できた。とはいえ、海のシーンの怖さは、ヒッチコック顔負けかも。本好きな私としては、本棚が消えた後に書物だけが残された部屋にも感慨深いものがあったなあ。

 最近読んだ本は、島崎今日子著『森瑤子の帽子』、橋本治著『思いつきで世界は進む』(ちくま新書)、『知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造」(日新聞出版)。いつの時代も私にサジェスチョンをくれた橋本治さんが、先だって亡くなり、ショックは大きい。が、残された著作を読んでも、彼の慧眼は時代を超えて生き続けるだろうことがわかる。やっぱり知の巨人である。

 

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