年の瀬は少しブルー

  • 2019.12.03 Tuesday
  • 18:37

 12月に突入した途端、焦りが浮上し、あくせくと動き回っている。と言いながら、腰痛で土・日の2日間、予定をキャンセルして寝込んでいた。こういう時間が意外に貴重で、読書が進んだり、ボーっとしつつもカーテンを洗濯したりと、雑事もこなせたりして。かなり怠惰な時間を過ごしたせいで、大分前に読み終わっていた河秋子さんの新作『土に贖う』(集英社)の感想をようやく書けるかな。この小説集は、養蚕、ミンク、薄荷、アホウドリ、蹄鉄、レンガ造り、陶芸という土にかかわる仕事を主とした7編の短編からなる。『颶風の王』の時もそうだったけれど、馬の描写が抜群に巧い。7編の中でもも「うまねむる」は、装蹄を職業とする親子2代の物語だが、登場する馬の鼻息や黒く潤む目や臭気が伝わって来るほどリアル。田舎町に住んでいた頃の馬具屋さんが思い出され、感心させられた。良く出来たストーリーで、背筋が寒くなったのは、ミンクの養殖を描いた「頸、冷える」。主人公が陶芸家として土と向き合う「温む骨」の描写力も素晴らしく、ひとつひとつ慈しむように読ませてもらった。

 ノンフィクション「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮社)は、「波」に連載されているものをまとめたものだというが、著者であるブレディみかこさんの視野の広さに感服させられた。大人の凝り固まった常識を打ち崩す子供たちを受け止める包容力と観察眼の鋭さにも脱帽だ。

 ところで、わが亜璃西社が8月に刊行した河井大輔著『さっぽろ野鳥観察手帖』の評判がすこぶる良い。日本野鳥学会の会報誌「野鳥」(11月号)の書評で、松田道生さんが、「『ある一都市専用の図鑑が出版される時代になった』と思うと、感慨深いものがあります」、さらに「本書のような図鑑が各地で出版されるようになれば、初心者がよりバードウォッチングを楽しむことができると思います」と絶賛してくれた。うれしいことこの上ない。寒くなると気分が少しブルーになるものだけれど、少しイェローになったかな。

 

 

 

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