カミュの『ペスト』が売れる訳

  • 2020.04.24 Friday
  • 11:26

 カミュの『ペスト』(新潮文庫)が、売れているそうだ。私も読もうと思って、一度は書棚からカミュ全集の4『ペスト』(新潮社)を引っ張り出したのだけれど、字が小さくて二段組(若い頃は得をした気がして、どれだけウレシカッタかわからなかったが…)なので読むのがきつく、数ページで挫折した。が、開高健『パニック』を読了後、やっぱり本家を読まなくちゃとチャレンジしてみた。

 こちらは、カミュが14世紀のヨーロッパで人口の3割以上が死亡したと言われるペスト(別名黒死病)を題材に、自分が生まれ育ったフランスの植民地であるアルジェリアのオラン市を舞台に書いた小説。ペストに襲われた街が封鎖され、苦境の中で人々が団結して無慈悲な運命と戦う姿を描いたもの。ドクターや神父、よそ者や逃亡者など、人間が不条理な現実に遭遇した時、どういう立ち位置で対峙するかが描かれ、なかなか難解な部分も多い。が、読み終わった後、なぜか温かい気持ちになれた。希望の光が見えたとでも言おうか。東日本大震災の時もそうだったけれど、ニュースを見ながら何もできない自分がもどかしく、吉村昭さんの名著『三陸海岸大津波」(文春文庫)を読み、歴史に学ばなければいけないと思うと同時に、素晴らしい警告の書を残された作家吉村昭さんに改めて敬意を評させてもらったものだ。この苦難の時、間違った方向に行かないためにも、精神力を鍛える優れた書物が必要だと思う。

 

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