傑出した書物

  • 2020.06.10 Wednesday
  • 08:53

  今日の予想は、最高気温30℃とのこと。一昨日から暑い日が続き、未だに服装を含めてどうしたら良いのかあたふたして季節の移り変わり目について行けない。お洒落な人なら夏服をきちんと整え、用意周到の人なら夏用のマスクまで買い揃えているのではないだろうか。いつだって出たとこ勝負で、イイ加減な性格を何とかしたいとは思うが、巧くいかないのが世(私)の常かな。

 ところで、フランス人の女性ジャーナリスト、アニエス・ポワリエが書いた『パリ左岸』(白水社 定価4800円)は、私にとって今年読んだ本の中で、一番の傑作になりそう。それほど優れた書物で、読後も未だ感動で心を揺さぶられている。そもそも「パリ左岸」とは、街の中央を流れるセーヌ川から南のエリアを指し、かつては学問や芸術の中心だったという。

 第2次世界大戦中の1940年 〜戦後の50年にかけて、パリ左岸に暮らした詩人、作家、画家、思想家、彫刻家、写真家、歌手、俳優、映画監督など歴史に名を刻んだ人々が、どういう風に時代と闘い、どういう風に遊び、どういう風に新しい時代の幕開けを彩ったかを、綿密に調べて克明に書き綴った珠玉のノンフィクションだ。例えば、私が学生時代に読んだ実存主義の作家『嘔吐』を書いたサルトルと『第二の性」のボーヴォワールは、パリ左岸の安ホテルで共に暮らした。食事はカフェで済ませ、徹底して家事に煩わせられず、「考えることや書くこと」に集中したという。どちらも新しい恋人が出来るが、二人の関係を最後まで全うしたというから凄い。

 ほかにも、妻帯者でありながら「天井桟敷の人々」の女優マリア・カザレスと恋に落ちたカミュ(ハンサムででダンディーだったらしい)、マイルス・デイヴィスに心惹かれた黒衣のシャンソン歌手ジュリエット・グレコなど多彩。はたまた、ヒットラーに占領された当時のパリの抵抗ぶりや知識人たちの共産主義への幻滅など、時代の変革の様が生き生きと描かれ、興味深いと同時に羨ましい限り。本書は枕に出来るほど厚さはあるが、本好きの期待を裏切らないこと間違いなしだ。

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